脳脊髄液減少症患者・家族支援協会
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当会および識者からの提言

脳脊髄液減少症最新情報 2010年

(文責 NPO脳脊髄液減少症患者・家族支援協会)

(今井)
昨年発表しました「YouTube脳脊髄液減少症 最新情報 2009年」が、アクセス数6,000件を超えました。医療関係者、患者さん、行政関係者など、たくさんの方から反響があり、大好評でした。 ありがとうございます。

今回もパート1・パート2に分け、代表理事の中井、副理事長の松本とともに、可能な限り情報発信をしたいと思います。 どうぞ、宜しく願いします。

(字幕)【コンテンツ】
・脳神経外傷学会が学会として脳脊髄液減少症を認定
・この中身は?
・問題点は?
・17%→50%運動の意義とは?
・長妻大臣の発言 2012年度 診療報酬制度改定時にブラッドパッチ療法を審議にかける   
 これは実現可能なのだろうか?
・4月に政府が出した「脳脊髄液減少症の検査における保険適用」の解釈の説明について
・子どもの例について
・イエローベルト運動について

(今井)
脳脊髄液減少症を取り巻く環境は、2010年に入り、いままでになく注目されています。 また、多くの患者団体や患者さんの様々な形による、国や地方自治体への活発な働きがけにより、大きな動き、展開が見られます。

(松本)
そうですね。 勢いが増して、これまでの地道な活動の成果が出てきているようです。 代表の中井と篠永先生が、平塚共済病院の一室から始めたこの運動も10年になります。
そして、NPO法人が発足して8年を迎えることができました。 当時では考えられなかったことであり、協会を支援くださった皆様に感謝申し上げます。
ところで、漢数字の「八」は、末広がりということから「開く」という意味があるそうです。 今年は、脳脊髄液減少症患者にとって、本当の意味で「開く年」にしたいです。

(中井)
まったくです。 10年前、篠永先生と運動を始めたばかりのころは、それはそれは状況が厳しかった。 「医学会 行政 政治」と、それぞれ私どもに向けられた反応は、いまでも、しっかりと私のこの胸中に刻印されて残っています。 一方、その厳しい中、開拓者の皆様の奮闘振りも、また応援してくださった医師や議員の方の姿は、けっして忘れません。 当然ながら、しっかりその恩に報わなければなりません。 この運動の功労者の功績を残さなければなりません。 そういった意味で、当会ホームページや会報(1~15号)では、当時の時代背景や先生方のご意見が、時代とともに明解に書き残されています。 是非読んでいただきたいと思います。

(今井)
ところで、先日、日本脳神経外傷学会が、外傷に伴う低髄液圧症候群の前向きな調査を行いました。 そして、登録症例23名中、4例を外傷に伴う低髄液圧症候群と認定しました。
いまのところ、日本神経外傷学会は脳脊髄液減少症という用語を用いていないようです。 そのことが、NHKのニュースで報道され、大きな話題になりました。

(松本)
私は、自宅でたまたまそのニュースを見てびっくりし、すぐ中井さんに連絡しました。

(中井)
私も松本さんから連絡を受け、非常に嬉しく思いました。 篠永先生をはじめ、多くの医師にすぐ連絡して喜びあいました。

(今井)
ところで、医学会が外傷に伴う低髄液圧症候群を認めたことで、今後どのような影響があるのでしょう? そして、その23名中選ばれなかった19名について、どう考えられるのでしょうか?

(中井)
そうですね。 もちろん、現状は厳しいです。 わずか4名です。 つまり17%しか認められなかったのです。 この残りの19名はどうして認められなかったかと言いますと、脳造影MRIにおける「びまん性硬膜増強」を示さない画像なので、除外された可能性が強いようです。
*(字幕)「びまん性硬膜増強」の意味

(松本)
そうすると、少し疑問に思います。 日頃、患者さんとお話をしていて、MRIで「びまん性硬膜増強」が見られたかどうかいう会話はほとんどありません。 RI画像ではっきり髄液漏れが見つかり、ブラッドパッチをしました。という方がほとんどです。 また、肯定派の医師からも、外傷性脳脊髄液減少症の患者さんの多くは、びまん性硬膜増強は出ないと伺っています。 また小児例では殆どゼロに等しく、画像に出ないそうです。

(中井)
そうなんです。脳神経外傷学会の医師は、脳脊髄液減少症の治療実績が少ない。どうしても経験がない分、国際頭痛分類学会に頼る所が多いようです。 しかし、このたび発刊される事になりました、守山英二医師著「脳脊髄液減少症診断と治療」には、外国論文でも「びまん性硬膜増強」は画像上顕著でなくても低髄液圧症候群である場合が多いとのデータが掲載されています。

(今井)
なるほど。結局、経験の差なのでしょうか? でも、日本脳神経外傷学会という大きな学会が認めたという事は、脳脊髄液減少症の普及において大きな事ではないでしょうか?
もし今、医師が「そんな病気はありません」と言うならば、それは「勉強不足の医師」になってしまう訳ですよね。 完全否定の立場をとっていた医師も、これからは主張も弱くなるのではないでしょうか。

(中井)
そうであって欲しいです。 今、多くの日本脳神経外傷学会の医師が、厚生労働省研究班に所属されています。 その医師たちの診断基準が、公的ガイドライン作成に影響を与えるようであれば、多くの患者さんがガイドラインから外れてしまいます。つまり、脳脊髄液減少症を発症していても、そうでないと診断される可能性があるということです。
これは患者さんにとって、たいへん不幸なことです。 ガイドラインから外れると言うことは、後々、交通事故や何らかの外傷が原因で裁判になっている方にしてみれば、更に厳しい死活問題になってしまいます。 なんとしてもより適切な診断基準のもと、確率の引き上げをしてほしいと思います。

(松本)
本当にそう強く願っています。 私ども協会は、脳脊髄液減少症患者支援の会や子ども支援チームと共に、2年前から肯定派や治療経験の豊富な医師の厚生労働省研究班への参加の要望書を国や山形大学に何度も提出してきました。 ようやくこの春、RI検査のスペシャリスト 守山医師と子どもの症例と生理食塩水パッチの重要性を最も強く主張する中川医師の参加が決定しました。

(中井)
協会はあくまでも患者の立場から「できる限りの事」をしてきました。 また、これからもしていきます。 誠実にお話していく以外にないのです。 その姿勢とこれまでの地道な活動が評価されたのか、ゼロからのスタートで、初志貫徹してきた事が評価されたのか、最近では山形大学や厚生労働省からも、信頼をいただけるようになってきたと感じます。

(今井)
それは素晴らしいことですね。ところで、現実に少しでも17%から上げたいところですが、理想とする100%に引き上げようとするならば、その方法はあるのでしょうか? 政治判断では無理でしょうか?

(中井)
現状では、RI検査が最も脳脊髄液減少症と診断される根拠となる検査です。近日発刊される守山先生と脳脊髄液減少症研究会の本「脳脊髄液減少症 診断と治療」、そして協会がそれに呼応する形で出すDVD「脳脊髄液減少症 診断と治療」をできる限り啓蒙して行きます。更に、生理食塩水パッチを何らかの形で普及する必要があります。なぜなら、未成年の脳脊髄液減少症診断には、生理食塩水パッチが重要になるからです。この生理食塩水パッチの事も、発売される本に記載されます。

(今井)
守山先生と中川先生が研究班に入られたという事は、研究の内容が広がりを見せる可能性があるということでしょうか?

(中井)
それは、わかりません。 現在、厚生労働省研究班のガイドライン審議には、生理食塩水パッチ、残存率、髄液減衰率クリアランスについては、予定に入っていません。 これをどう論議し、患者救済のガイドラインにしていくかは、肯定派の医師にお願いするしか方法はないのです。

(松本)
なるほど。 それにしても本の発刊とDVDの発売が待ち遠しいですね。 先程の今井さんの質問にあった政治判断について考えると、私は医学の純粋な世界に、政治が介入し ていいのだろうかという思いがあります。 あくまでも患者さんの立場で、正しい医学的根拠に基づいた論議を行い、ガイドラインを決めていただきたいと思っています。

(中井)
そうですね。 私も同じ気持ちです。 確かに事務局のある山形大学は3年計画で、目標の100症例は達成できませんでした。 しかし、研究代表者の嘉山先生は、日本の医学会を代表する、超一流の医師を集めてくださいました。 この研究班で合意が得られれば、それ自体、日本医学会の診断基準になります。 これは、各地域をまわって感じることですが、よくぞこれだけのメンバーを招集されたと感銘を受けています。 患者さんの為に脳脊髄液減少症の本質を見極め、必ず歴史的偉業を達成してくれる事を皆で期待しましょう。

(今井)
はい。 お話は続きますが、目標の100症例まであと一歩ですね。 100症例が集まり、ガイドラインを本年度12月31日まで完成させ、更に来年度にはブラッドパッチ治療のガイドラインも完成させなければ、3月に長妻大臣が言われた2012年の診療報酬制度の改定の審議には間に合いませんね。

(中井)
はい、その通りです。 しかし、この脳脊髄液減少症のガイドラインができればどうなるか考えてみてください。 裁判、自賠責・労災、更に警察・学校関係に影響があります。
そして、各保険会社にも影響を与えます。 すべてにおいて大改定となります。 よって、お金も動く訳ですから反対が無いと言えば嘘になります。 だからこそ、100症例に拘った署名が重要なのです。 世間に100症例の事を知っていただきたいのです。

(今井)
なるほど。だから、大臣発言を空論にしないようにする署名運動が必要なのですね。

(松本)
これまで活動をしてきて、現職の大臣が脳脊髄液減少症の保険適用を具体的に発言したのは長妻大臣が初めてだと思います。 素晴らしい発言でした。 もちろん時期というタイミングもありますが。大臣の言葉をリップサービスと受け取りたくありません。 しかし、万が一症例数が集まらず、ガイドラインの作成に時間を予想以上に費やし、まとまらなければどうなるか? この心配が杞憂に終わってくれればいいと思います。

(中井)
そうですね。
ところで、先月、政府より「脳脊髄液減少症の検査についての保険適用に対する解釈」について、事務連絡が全国社会保険事務所 都道府県保険課に配布されました。
これにはメディアも「脳脊髄液減少症検査保険適用」と大きな見出しで報じました。 これはもともと「髄液漏れの頭痛」の検査については、本来保険適用なのですが、地域によって、混合診療の解釈が違っていたのを統一したに過ぎません。 もちろん、多くのメディアが脳脊髄液減少症を報じ大きな話題になった事は良い事です。 そして、同じような混合診療の解釈で地域格差がある病態で苦しむ患者さんにとっては、モデルケースになった事でしょう。 しかし、正しい情報を流さなければ、医師も患者も混乱してしまいます。
そのしわ寄せがどこかに出てきます。

(松本)
はい。 未だに「TVで脳脊髄液減少症が保険適用になったと報道していた」と問い合わせがあります。 「最初の検査だけが保険適用」であることを知らない方もいます。
また、今まで検査について保険が適用されていた地域で、今後、脳脊髄液減少症と診断されブラッドパッチ治療を受ける事を同意した時点で、後の治療はすべて自由診療になるという事実も知らない方がいるようです。 正しく理解し、情報を発信しなければいけないと感じました。 これまでもそうでしたが、「脳脊髄液減少症」について報道されると、必ずと言っていい程、協会に沢山の問合せがあります。 協会が問合せ窓口・相談窓口になっています。 ですから、正しい情報を記事にしてほしいと、患者さんと接する機会が多い現場ではそう感じます。 今回、協会は、厚生労働省と連携を密にとりました。 また、事務連絡を使い、問い合わせのマニュアル作成をして、相談の対応をさせていただきました。
長年の経験が生きた結果だと思います。

(今井)
そうですね。あと、脳脊髄液減少症を連続して取り扱っている記者であれば正しい記事を書かれていたと思うのですが、やはり記者はどうしても色んな問題を記事にしていますので、単発取材になりかねませんから仕方ないところもあると思います。

(中井)
私は、脳脊髄液減少症の問題に長く関わってきましたが、確かに未解明な部分は多くあると思っています。 RI画像上漏れは無いけれど、生理食塩水パッチで改善される方も多数います。
これをプラシーボ効果といわれれば、反論する証拠がない現在は、100%の診断治療は厳しいかもしれません。 しかし、正常圧水頭症のように症状をガイドラインとする例もありますから、希望は捨ててはいけないと思うのです。
*(字幕)「プラシーボ効果」の意味

更にBP治療の効果も、すぐ効く方、時間を要する方、まれにBP治療を多数回行い、腰痛や違和感のある後遺症が出る方もいます。
2002~2004年当時、BP治療は何度行っても後遺症が出ないという見解であった事も事実です。 そのために治療回数を重ね、後遺症で苦しむ方もいます。ガイドラインばかり注目されていますが、治療であるBP治療のガイドラインをもしっかり作成していただきたいです。 研究班の中に、ペインクリニック学会や麻酔科学会から治療経験の多い医師を選抜して参加していただく事を、国と山形大学に強く要望していきたいと思います。

(今井)
政府事務連絡の中の3項目目
「ブラッドパッチ療法を目的とした診療やブラッドパッチ療法による明らかな合併症のための診療の場合には保険請求できないのか?」
「解答 その通り」
これについて、どう思いますか?

(中井)
今後、是正を要望していきたいです。 悪化した症例を検討する事は重要であり、また悪化した方の治療の研究なども今後の課題であろうと思います。 またそれを強く望みます。
(ブラッドパッチ治療で悪化(癒着 腰痛・その他)されたと感じる方は staff@npo-aswp.org までその経過をメールいただければ幸いです
担当は中井です いただいたメールについては一切お返事できかねますので御理解をお願いします。)
いただいたメールは研究班に提出させていただきます。

(今井)
現状はまだまだ厳しいですね。 安易に考えてはいけないですね。 油断してもいけませんね。 私も署名を頑張ります。
ところで、最近、子どもの症例が急激に増加してきました。 交通事故でなく学校現場での活動の中で発生していると伺っています

(中井)
そうです。 これは急激な成長過程における身体的な機能がかかわっているのかもしれませんが、同じ衝撃でも成人に比べ髄液が漏れやすい。 発症頻度は多いかもしれません。
俗にいう「なまけ 易疲労 不登校」といった扱いをされている児童が、実は脳脊髄液減少症でありながら自らの体調不良を表現できず、未だ診断を受けていない方も多くいると思われます。
実は、脳卒中で著名な医師とその仲間の医師が脳脊髄液減少症の小児の症例を着実に経験され、実績を積んでおられます。
私もお話させていただきましたが「こんなに多くの患者がいるとはと驚いております」と率直な意見を伺いました。 今後、大きな影響力を持つ事になると思います。
そして、現在でも小児の改善率は高いそうです。

(今井)
凄いですね。 確実に学校現場での脳脊髄液減少症の普及は広がっていますね。 今年も各県教育委員会から協会に脳脊髄液減少症講演依頼がきております。
現在10府県で、教育委員会主催の脳脊髄液減少症研修会が行われてきましたが、早急に47都道府県で実施されるべきだと思います。

(松本)
ところで、イエローベルト運動がついに42府県で公開されました、予定を入れれば45道府県になります。 残りは、「大阪・東京」だけです。

(中井)
凄いことです。 もちろん、たとえ42府県公式HPで脳脊髄液減少症の治療病院が公開されていると言っても、各自治体により数もレベルもバラバラです。
実際、病院を訪れてみると、その症例数の少なさに困惑したというお話も伺っております。ガイドラインができれば、一気にその情況は変わると思われます。その時のためのイエローベルト運動なのです。 いよいよです。 しかし、会報15号の見出しにもありますが、「いや待て、もう一歩の時こそ油断大敵、しかして希望せよ」この気持ちが重要です。
今年4月20日の国会で山本博参議院議員が脳脊髄液減少症など脳にかかわる病態の質問をされ反響を呼びました。 「福祉の枠から外れた患者さん、また法律の狭間で苦しんでいて何の救済も受けられていない多くの患者さん」がいる事実。 ガイドラインから外れた患者さんは何の救済もなされないのか?」 この方たちを救う事も協会の仕事であり重要課題の一つでもあります。 やはり、党利党略ではなく、真剣に取り組んでくださる、何があっても民衆の為に動いてくださる議員が必要です。 時勢に流されず、ただただ誠実にまじめに取り組んでくれる議員が必要です。 既に超党派で問題に取り組む時期にきていると感じます。 山本博議員の質問は大変重要だったと思います。
参議員議員公式HP 議会中継録画(厚生労働委員会)でみられますので是非御覧ください。

(今井)
はい、有り難うございます。 今回も貴重な情報発信になると思います。 中井さん松本さん、有り難うございました。

2009脳脊髄液減少症最新情報パート2 (協会文責) 2009年9月

今井:きょうは、NPO法人脳脊髄液減少症患者・家族支援協会の中井さんと松本さん、私、今井の3人で、脳脊髄液減少症の最新情報について、懇談的に話をします。 
早速ですが、2ヶ月前に配信しました「脳脊髄液減少症最新情報」のアクセス数が非常に多く、患者さんはじめ、各方面より、大きな反響があると聞いています。

中井:そうですね。特に、全国の自治体が県レベルで、公式ホームページ内に、脳脊髄液減少症の診療が可能な医療機関を公開しています。
その情報を得る為のアクセスが多いように思います。

松本:ところで、いよいよ、脳脊髄液減少症の診療可能な病院の公開が、9月中には30府県を超える勢いです。

中井:既に決定している県を含めると、年内には34府県になる予定です。

今井:そうなると残りの13都道府県も早急な対応が必要になると思います。

中井:はい。

松本:国は、脳脊髄液減少症という疾患を認めています。ただ、各科や学会により診断基準が違う為、統一した診断基準を作ることになり、現在3年計画で研究が進められています。
文部科学省も全国すべての学校法人に、脳脊髄液減少症という病気の存在を事務連絡で報告しています。
患者さんの為に、治療病院を調査し公開するのは行政として当然だと思います。

今井:まだ公開していない自治体の中には、国の動向を見守っているところもあるようです。
しかし、広大な面積・人口が多い自治体は、情報公開を急ぐ必要があると思います。 それが、1番の患者さんの負担軽減になります。
行政のやる気に期待せずにはいられません。

中井:ところで今井さんが住む愛知県では、行政が素早く行動し、県を中心に、市の公式ホームページでも脳脊髄液減少症の情報を流し、素晴らしいネットワークができつつあります。
市民にも喜ばれていますね。

今井:はい。 現在7つの市で公開をしていて、今後も増えると思います。 名古屋市では現在、相談窓口設置に準備を進めています。
またある市では、毎月発行される町の情報誌で、この病気の紹介記事を載せています。

松本:どのようにして行政の理解を得たのですか?

今井:患者さんとその家族が、脳脊髄液減少症に理解のある地元市議会議員の協力で、行政関係者へ病気の周知徹底を訴えてきました。

中井:なるほど。 政治家の力は、行政を動かす場合、どうしても必要ですね。 政治家が市民の為に働くのは当然です。 また、そうあってほしいものです。
迅速に動き、結果をだす議員が必要です。 患者-行政-医師が連携する必要性を強く感じます。

松本:ところで、数年前まで、脳脊髄液減少症を否定していた病院で、最近、治療をしているという情報が電話相談の中で、よく出てきます。

中井:私もびっくりしています。 先月、脳神経外科学会公式医学誌 「神経外科」で、守山英治医師の論文が受入れられた事も大きな意味があります。
これは、完全に交通事故後に髄液が漏れているという科学的データーに基づく論文です。 更にペインクリニック学会総会で、今年もまた症例報告がされました。
交通事故の外傷後に髄液が漏れるのは、今やもう常識になりつつあります。

松本:さんざん非難されてきた脳脊髄液減少症も、ついに日の目をみるところまで、きましたね。

中井:先日、脳脊髄液減少症の公的研究班に所属し、最近、治療を始めた大学病院の担当医に話をお聞きしました。現在2症例を登録し、その中の1人は間違いなく、外傷後に脳脊髄液が漏れていたそうです。 外傷後に髄液は漏れるという概念は定着しつつあります。

今井:そういえば、最近になり、脳脊髄液減少症研究班がホームページを開設しましたね。

中井:そうですね。 目標臨床例を当初の250例から100例にさげました。 8月25日現在40症例で、残り60症例となりました。 今年度が計画3カ年の最終年度です。
なんとしても結果をだしていただきたいと、私達NPOは、嘉山教授、研究班事務局に対し、今年度中のガイドライン完成を何度も訴えてきました。
未だこの病で経済的・心身的不安で苦しむ方が多いことを考えると、今年度で結果が出るようにしてほしい。
そうでないと、患者の希望の火を消すと言わざるを得ません。

松本:ところで、損保会社の顧問医の名前が、研究班のホームページから消えていました。

中井:その理由を研究班事務局がある山形大学に尋ねしました。 その医師本人から「多忙で公的脳脊髄液減少症研究班の継続参加が難しい」と辞退の申し出があり、今年度から参加しなくなりましたとのことでした。

今井:話は変わりますが、今まで、各県教育委員会主催の脳脊髄液減少症の勉強会が各地で活発に行われています。私の住む愛知でも、県や3つの市でも地元教育委員会主催で、養護教諭を対象に専門医を招いて、脳脊髄液減少症の勉強会を実施し、周知徹底を図っています。

中井:和歌山を皮切りに、秋田、青森、大阪、いま言われた愛知、島根、埼玉と開催されました。 今後も増えるでしょう。

松本:その中の島根県では、県が主催し、患者の皆様との意見交換が活発に行われていると聞きました。 行政の理解を得ていて、理想と言っても良い形ですね。

中井:そうです。島根では、患者会が活発に行動しています。 更に、患者さんが個々人で知事に手紙を出して、理解を得てきたという実績があります。

松本:すごいですね。 患者さん自身が動いた所は、ちゃんと行政から理解を得ているということですね。

松本:ついに完成した「DVD 子どもの脳脊髄液減少症シリーズ①」が、講演会で活発に用いられていると聞きました。

中井:そうです。 どうして脳脊髄液減少症の講演会をしなければならないのか。 それは、未来ある子ども達の為です。
DVDのデーターにもあるように 18歳未満で発症し 治療が遅れ 時間が経過すれば 後で治療をしても改善しにくくなります。
これには、成長ホルモンと髄液が関係してきます。 そういう意味で、養護教諭の皆様に、是非DVDをみていただきたい。もちろん親御さんにもご覧になって頂きたいです。

今井:協会の仕事に携わって感じる事ですが あまりの膨大な仕事量に驚いています。 また多彩な情報量にも驚いています。 本当に毎日地道な作業ですね。
                                         
松本:そうですね。 毎日必ず何か発見がありますし、勉強になります。
 
今井:最後に全国で訴訟が行われている中 今後 脳脊髄液減少症の裁判はどうなるのでしょうか?

中井:弁護士の皆様には、早急に脳脊髄液減少症についての勉強を強くオススメします。
それは、今後、交通事故の問題を積極的に取り組んでいく場合、「脳脊髄液減少症」の訴訟が一気に増える可能性が大きいからです。 そして、当然、勝訴も増えます。
当会では、「全国47都道府県に最低1人は、協会所属の弁護士を作る」運動(通称オレンジベルト)を始めたいと思います。
当会に患者さんより訴訟の依頼が頻繁にあります。 まず弁護士に依頼し連携を取る為 協会から弁護士に情報を発信します。 

松本:ところで 篠永先生と中井さんの10年前の会話から始まった脳脊髄液減少症の運動は、いよいよここまで来ましたね。
最近は、篠永先生と中井さんの二人から、この運動が開始された事を知らない人が多くなっています。

中井:私は、篠永先生に恩返しようと、それだけでがんばってきました。 恩に報いることが人生の勝利の要因だと思っています。 夜明け前が最も寒く、闇は濃いと言います。
今はそういう時期でしょう。 最後まで我々も頑張りましょう。 最後に、脳脊髄液減少症と闘っている患者さんに私の大好きな言葉を贈ります。
「いや待て しかして希望せよ」

今井:本日は、どうもありがとうございました。

2009脳脊髄液減少症最新情報 (協会文責)2009年6月

インタビュアー(今井)
近頃、 「脳脊髄液減少症」自体の捉え方が、医学界・行政・教育関係者の間で随分と変化してきていると感じます。

中井 
国の研究事業は、順調良く進んでいるとは言えません。 しかし、患者さんの必死の訴え、そして篠永先生を中心とする「脳脊髄液減少症研究会」の絶え間ない努力により、確実に「脳脊髄液減少症」の捉え方が毎年変わってきていると思います。

インタ 
具体例をあげて、説明をお願いします。

中井 
「脳脊髄液減少症」のガイドライン一つをとっても、アメリカ主導の国際頭痛分類学会のガイドライン、日本国内でも神経外傷学会のガイドライン、そして篠永先生が会長をつとめる「脳脊髄液減少症ガイドライン2007」があります。現在、社会問題となっている交通事故後の「脳脊髄液減少症」について、裁判の争点となる診断のガイドラインは、国際頭痛分類学会の診断基準が多用されてきたと思います。
しかし、その診断基準は見直されなければいけない時期になってきているという発言や論文が、診断基準の作成に関わった、この病気の権威者シービック等から出るようになっています。(画像で論文を紹介)
更にイタリア人の医師グループからも同じような報告がされています。世界の流れは「脳脊髄液減少症ガイドライン2007」に近づいていると思います。 
本年、ガイドライン2009がでると聞いていますが、「脳脊髄液減少症研究会」の仕事はまさしく世界へ向けての礎となったと思います。
そういった意味でも国の研究班の責任は重大ですね。

インタ 
なるほど。 日本が「外傷性脳脊髄液減少症」においては最先端なのですね。
では、現在の裁判の状況は、どうでしょうか?

中井 
皆さんご存知のように、交通事故後における外傷を起因とする「脳脊髄液減少症」について、損保会社は絶対否定のスタンスを取ってきました。
症例数ゼロの医師に、「脳脊髄液減少症」を真っ向から反対否定する論文を作成させ、反論材料にしてきました。裁判の場で、多くの患者さんは苦渋の涙を飲んできました。
しかし昨今、勝訴判決は出ていないのですが 「和解判決」が増えているという報告がはいってきています。 それもほぼ勝訴に近い和解です。
但し、その和解には、「保険会社から和解した事をメディアに流さないでほしい」という条件が付いています。

インタ 
なるほど、大きな変化ですね。行政や教育界は、どのような状況ですか?

中井 
厚生労働省に関していうと、「脳脊髄液減少症」について、非常に重要問題と捉えている事は間違いありません。 そのスタンスを支えているのが、地方からの声です。
我々が進めるイエローベルト運動は、近日中に30府県まで達する勢いです。 更にそれらを支えているのが、子ども支援チームを始めとするお母様方の必死の「脳脊髄液減少症」の要望活動です。 教育委員会を動かし、和歌山・青森・秋田・大阪・愛知など、教育委員会主催で、脳脊髄液減少症勉強会を実施させたのです。
「母に勝るものはなし」ですね

ある勉強会に講師で招かれた専門医の言葉が印象的でした。
「百聞は一見にしかず」 「医師は自分で経験したものでないと信用しない人種なのです」「脳脊髄液減少症を反対する医師の方々に言いたい。一度でもいいから治療すれば判る」と。
500例を越える脳脊髄液減少症の治療実績のある方の言葉の重みが違います。

インタ
結局、患者さんが治療して回復していく事実は事実として受け止めてほしいですね。

中井 
そうです。 交通事故や外傷による悲運は誰の身にも降りかかる可能性があります。 誰もが苦しみから逃れたいと思うのは当然です。 「否定から肯定に変わる」 こういう現象が日本の各地で起っているかもしれませんね。

インタ 
肝心の医学界は?

中井 
皆様も覚えておられると思いますが、3年前に出た脊椎脊髄ジャーナル19号の特集記事で「低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)に関する最新動向」と題して、医師間の間で座談会が開催されました。
ここでは、あたかも「脳脊髄液減少症」が存在しないような論調で座談会が終わりました。
そして本年、同誌22号に 「低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症)に関する最新動向パート2」と題する特集が出ました。
内容を見ると、完全に「脳脊髄液減少症」という病態が存在するというスタンスで話が進んでいます。
もっとも厳しかった整形外科学会の立場も驚くほど、肯定的になっています。

インタ
すごいことですね。 ところで、私は、多方面からはいる協会の情報に目を通して、自殺や自殺未遂など悲しい出来事があまりにも多い事を知りました。

中井 
脳脊髄液減少症が病気として、世の中に認知されるまで、登山にたとえると、8合目くらいまできていると思います。 患者の皆様が希望を持てると思います。
総合的に判断すると、そのような状況だと思います。 またそうであってほしいです。
ガイドラインができて、ブラッドパッチが保険適用され、病気として認知されるまで、気を抜かずに、活動していきます。なんとしても篠永教授を中心とする脳脊髄液減少症研究会の先生方に頑張っていただき、我々患者も 応援します。当然 今まで以上に 国の脳脊髄液減少症研究班にも期待し、年内に研究症例数100例をなんとしても達成していただきたいと思います

インタ
わかりました。 今日はありがとうございました 脳脊髄液減少症の全ての患者さんに希望を持っていただきたい。 そう切に願い、インタビューを終わります。


2,009年3月1日 NPO法人脳脊髄液減少症患者家族支援協会 より
山形大学厚生労働省研究班 嘉山主任研究者に対し要望書が提出され正式に受理されました。

文責 NPO法人脳脊髄液減少症患者・家族支援協会
題 「世界的研究 そして未来の子どもの為の研究」修正版
サブタイトル 公的脳脊髄液減少症研究班の進展状況に思う


インタビューアー

さて脳脊髄液減少症の認知度が上がる一報です。
本年は、どのような年になるのかを、NPO法人 脳脊髄液減少症患者・家族支援協会の代表理事である中井 宏さんにお聞きします。
よろしくお願いします。

中井
よろしくお願いします。 今年は、「脳脊髄液減少症」啓蒙にとって、大変重要な年になると思っています。
そのひとつの理由として、「2009年度は、厚生労働省脳脊髄液減少症研究班の3カ年計画最後の年」であることが挙げられます。
その話に入る前に、最近、全国各地の放送局で「脳脊髄液減少症」についての番組が放送されています。

インタ
はい、私も、いくつか見させていただきました。

中井
その内容をみると 「脳脊髄液減少症」は「国が病気として認めていない」というアナウンサーもしくはナレーターの方の発言を耳にします。

インタ
はい。

中井
私は、仕事柄、全国を回っていますが、行く先々の行政や議会でも、「脳脊髄液減少症」は新しく発見された病気と捉えている所が多いようです。

インタ
私も、何回か放送を見て、そのように理解しました。

中井
ところが、それについては大きな誤解があります。
国は脳脊髄液減少症について、「病気としては認めています。ただ、各科によって診断基準が定まっていないので統一した診断基準がないと、
なかなか保険適用の道が開けない」との見解です。 その統一診断基準をつくる為の研究だという認識です。

インタ 
なるほど。病気として、認めているのですね。 
中井
そうです。ここは重要なところだと思います。

インタ
ところで、最初に中井さんから、「2009年度は、厚生労働省脳脊髄液減少症研究班の3カ年計画最後の年」とありました。
いままでの進展状況を教えてください。

中井
最初にお断りしておきますが、私は、研究班に入っているわけではありません。
ですので、厚生労働省と研究班事務局から、教えていただいたことをお話させていただきます。

2009年度は、3カ年計画の最終年となります。
計画では、250人の臨床研究をします。そして、その250人の臨床研究を元にガイドラインの作成をまとめていく段階になるわけです。
しかし、現実は今年2月初旬で、目的の250症例に対し実際は22症例に留まっております。

インタ
22症例ですか? これは、どういう判断をすれば良いでしょうか?
計画通り、スムーズに進んでいるのでしょうか? 

中井
国は先日あった国会質問の答弁では 「順調よく計画が進んでいるとは言えず遅れているという見解で、今後、臨床研究の受け入れ医療機関を増やすという計画中であるとの」見解を示しました
研究班からの2008年度の実務報告を待ちたいと思います。

インタ
この研究班には、どのような医師が参加されていますか?

中井 
研究班の主任研究者である、嘉山山形大学医学部長の御尽力により、各科から、著名な医師が選ばれております。
「脳脊髄液減少症」の診断にかかわるのは、脳神経外科だけなく、整形外科・神経内科・外科・ペイン・放射線科様々です。
現在は脳神経外科が、主導的に診察をおこなっていますが、保険適用を目指す場合、各科の賛同を得なければなりません。
また、あえて反対意見を唱える医師にも参加していただくことで、科学的・現実的に「脳脊髄液減少症」が証明されれば、反対の余地はなくなります。
嘉山教授は、実際の治療を経験する中で、議論を交わすことが重要とお考えになったのではと推察します。素晴らしいアイデアだと思います。

インタ
ガイドラインが出来たときには、どこを批判されても対応できるようにするのが、大事ということですね。

中井
その通りです。
この研究は、すべて患者さんの為に行われなければいけないと思います。 税金を補助としておこなわれている研究ですから、参加されている医師の立場があくまでも中立であることが大事だと思います。
ところが、研究班に企業(損保業界)と密接な関係がある医師が参加していることがわかりました。 この医師は、「脳脊髄液減少症」に反対意見を唱えているとのことです。
現在、山形大学で、COIなる指針に基づき、審査・管理を早急にたちあげると、お聞きしています。 期待したいと思います。

インタ
私が、先日、インターネットを見ていたら、研究班の事が、話題になっていました。 反対派と賛成派の医師について、かなり白熱した議論が展開されていました。
また、身体に負担がかかる検査なので、経験豊かな肯定派の医師に診てもらいたいと書いてある掲示板を見ました。

中井
そうですね。 医師の一言、一挙手一投足まで、患者さんは患者さん同士で、情報を共有されています。 ネット時代は良いことも悪いこともあると思います。
情報伝達のスピードは格段とあがりました。 おっしゃる通りで患者さんとって、研究は重要です
が、病気を治したいのが先ですから、必死で情報をあつめ経験豊かな医師を訪れるのは致し方がないところでしょう。
民衆の声がどうあれ最後の舞台では反映されてくるのかもしれません。 民衆ほど賢いものはなく民衆ほどある意味怖いものはありませんね

諸問題はありますが、必ず、きっと民衆の為に、障壁が乗り越えられ、各科の意見がまとまり、本年度中にガイドラインを作成してくれると期待しています。
そう私は信じたい。 また、我々もそのためには協力は惜しまないつまりです。

インタ
いま、諸問題と言われましたが、どのようなコトでしょうか?

中井 
たとえば、研究事業についてです。 研究班の報告書によれば、保険適用範囲で行うと記述されております。 しかし、これはあくまでも要望です。
髄液漏を疑い、検査する場合、これは保険適用は認められております。 しかし、ブラッドパッチ治療については、保険外診療です。
この両者がセットになると混合診療となり、双方とも保険外診療、つまり 自由診療となります。
研究に参加する医療機関の中で、治療を含め、すべて保険適用のところもあれば、すべて自由診療の医療機関もあります。
この判断は、各地域の社会保険事務所の裁量によるとのことだそうです。ここが問題です。
また、肯定派の医師の所属病院の地域が比較的保険外診療になっているのが、残念でなりません。

インタ
なるほど。
もう一つ、教えてください。 世界基準となっている国際頭痛分類学会のガイドラインと、現在、日本で行われている研究の関連についてです。

中井
このことにつきまして、脳脊髄液減少症の世界的権威モクリー教授の発言を参考にしたいと思います
もともと従来の「脳脊髄液減少症」は「低髄液圧症候群」として呼ばれていました。 つまり髄液の漏出にともない、髄液の圧が基準値より下がることにより発症する病気の為
そう呼ばれてきたのです。
しかし近年、モクリー教授は、髄液圧はあまり関係ないと発言しました。 主訴である起立性頭痛をともなわない症例もあり、病名を脳脊髄液減少症と呼ぶようになったことです。
この名称変更後、正式にガイドラインが世界で未だまとまっていないため様々な問題が発生しています。
ましてや外傷に伴う症例に基準がないため、世界でも有数の外傷例を経験している日本の役割がとても重要となってきているのです。
(医原性の脳脊髄液減少症の診断基準も含め)

インタ
なるほど。世界に向けて日本発の重要な研究との印象を受けました。
ところで、賛成派の医師が研究班に少ないという情報を聞きました。

中井
そうですね。 外傷例を多く経験しています、篠永教授が会長を勤める、「脳脊髄液減少症研究会」のメンバーが、研究班に追加増員されることを願います。
それが実現すれば、症例数は増加することでしょう。

インタ
子どもの脳脊髄液減少症について質問させていただきます。
最近、子どもの脳脊髄液減少症がメディアに取り上げられることが多いとお聞きしました。

中井
そうです。 先日、「小児の脳神経」という論文誌にも論文がでました。 そして著名な脳外科医である山浦元千葉大教授も、「世界で読まれるべき」であると絶賛されています。
脳脊髄液減少症データー集VOL2も読んで頂たく思います

インタ
子どもの場合、大人と違うところは、ありますか?

中井
子どもの脳脊髄液減少症の診断は難しいと医師から伺っています。 ほぼ国際頭痛分類学会のガイドラインに当てはまらないケースが多いとのコトです。
治療を多く経験している医師でも、頭を抱えるケースがあると聞きます。 患者さんは大人だけではありません。 子どもの患者さんも増えています。
ですから、子どもの脳脊髄液減少症の治療を多く経験している、脳脊髄液減少症研究班(篠永会長)所属医師の公的研究班参加は、必要だと思います。
国の答弁と同じように再度、国と研究班に 脳脊髄液減少症研究会の医師の参加を要望したいと思います。
国の答弁では研究班の期間の延長もありゆるとの事ですが研究班の延長は患者様にはとても厳しすぎる、3年でなんとか結果を出していただきたいと思います

インタ
子どもの潜在患者さんは多いのでしょうか?

中井
実は、小児科ではとても高名(こうみょう)な筑波学園小児病院の藤田先生の子どもの頭痛を対象にしたデータがあります。 478名の頭痛をうったえる男女の統計です。
ここにいわゆる髄液の問題(低髄液圧症候群)のガイドラインにあてはまる頭痛を訴える患者が6名います。 1%弱です。
しかし、原因のわからない頭痛をうったえる小児が97名もいるのです。 ここに脳脊髄液減少症の患者さんが隠れていると推察されます。
不登校生の生徒の訴える原因の大きな一つに頭痛があります。 低髄液圧の患者でも100人に一人はいるわけです。 
脳脊髄液減少症の患者の場合、多くは低髄液圧ではありません。 しかし、頭痛を訴えます。現在では18歳未満の患者は200名近く見つかっています。
まだまだ小児の脳脊髄液減少症の普及が遅れています。 私が全国を飛び回り講演を行い教育関係者に訴えるのはこの理由からです。早急に実態調査が必要でしょう。

インタ
そうですか。 公的脳脊髄液減少症研究班の重責は世界的にもまた未来ある子ども達のためにもとても重要だということがわかりました。
中井
この脳脊髄液減少症の認知活動、そして研究推進の支援活動の流れを国民的なものにしなければならないと思って邁進していきます。

インタ
本日は、ありがとうございました。

中井
こちらこそありがとうございました。

 

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