「認定NPO法人脳脊髄液減少症患者・家族支援協会(旧名 鞭打ち症患者支援協会)」のホームページには多数のページが存在します。 はじめてアクセスされた方のために、ガイド的な役割のページにできればと思います。 ホームページを見てのご意見、ご感想などをお寄せください。
内容 2019.6.10現在更新準備中
A1 「認定NPO法人 脳脊髄液減少症患者・家族支援協会(旧名 鞭打ち症患者支援協会)」は、「何らかの衝撃で髄液が漏れる」事実を 全国に普及するため設立されました。 日本では非常に珍しい、医師と患者の組み合わせによる「脳脊髄液減少症(低髄液圧症候群)」(髄液が漏れる病態)の啓蒙を目的とするNPO法人です。 慢性的な鞭打ち症の原因の一つが「髄液が慢性的に漏れることにより発生するもの」と最近の臨床結果で判明しました。
A2 「協会の概要」をご覧下さい。
A3 「活動記録」をご覧下さい。
A4 まず協会設立のことから書きます。
2000年(平成12年)に「難治性のむち打ち症」と「不定愁訴」の原因の一つとして、脳脊髄液が減少(漏出)することが知られるようになりました。それを最初に唱えたのが、当時、平塚共済病院 脳神経外科 部長の篠永正道医師(現・国際医療福祉大学附属熱海病院脳神経外科教授)でした。
今までにない新しいモノであったため、理解を示す医師は、ほとんどいませんでした。そして100名近い臨床データを医学論文に投稿するも、すべて却下されました。(詳細は当協会発行「会報1」の篠永教授のコメント参照)
篠永医師は『このままでは、私が医師を辞める時期には、この病態も自然消滅するでしょう』と言われました。 そこで当時、篠永医師の患者でもあり、「むち打ち症患者応援ページ」というホームページを開設していた中井 宏(現・NPO法人脳脊髄液減少症患者・家族支援協会(旧名・鞭打ち症患者支援協会) 代表理事, 以下中井)が、ブラッドパッチ治療(以下BP )を受け改善した仲間、山口良兼整形外科医(現・マルチン病院)、篠永医師とともに「NPO法人 脳脊髄液減少症患者・家族支援協会(旧名 鞭打ち症患者支援協会」(以下協会)を2002年5月に設立。厚生労働省にて設立の会見(写真下)をおこない、同年8月27日に内閣府の認可を受けました。
中井は、まずこの病態を世間に認知してもらうために、実用本の企画を立て、出版社をまわります。数十箇所、訪問の末、ようやく一社が条件付きで出版依頼を引き受けてくださいました。(篠永正道教授著「あなたのむち打ち症は治ります」も協会が企画しました)
出版条件はテレビ放送することでした。協会は本の出版のためTV局と交渉を重ねました。番組放映が決定したものの、直前で放送中止に。そしてダメだと誰もがあきらめた時、「ニュースステーション」の記者から取材依頼がきました。そして放送が決定し、本も無事発刊。(「むち打ち症はこれでなおる」/株式会社日本医療企画)
「脳脊髄液減少症」は画像上で異常所見がでること、世界的にも「髄液漏れにはBPが最も有効である」との多くの論文が出ていたため、「ニュースステーション」と本の影響で、多くの医師から賛同を得られると確信しました。
しかし、篠永教授は『もしかしたらTVを見た患者全員を、私が診察しなければならなくなるかも』と言われました。結果は、ほぼ篠永医師が正しかったのです。
「ニュースステーション」放送後、大学病院や医師も全体的に反対意見が多くありました。しかし、そういう状況下においても山口医師や九州労災病院脳外科科長の竹下岩男 医師は違いました。「ニュースステーション」を見て、「これが自分を苦しめている病気に間違いない」と確信した患者さんから、3箇所の病院と協会事務所(和歌山・東京)に診察依頼の電話が殺到しました。協会は対応策として、治療と検査ガイドライン(プロトコル)を記載した「会報1」を作成。診察希望の方に書籍「むち打ち症はこれでなおる」と「会報1」を持って、地域の医師に治療啓蒙をし ていただくようにお願いしました。
そのような努力の末、患者さんの声に耳を傾けてくださる素晴らしい医師が現れました。多くのメディアも協会の運動に賛同し、テレビ・新聞報道をご覧になっていただければわかりますが、広く運動を啓蒙してくださいました。本当に感謝しています。
※最初の支援は、治療施設を全国に増やしたことです。もちろん患者さんや医師の協力があってのことです。
協会設立当初、協会員になったら早く治療してくれるのですか? 裁判の応援してくれるのですか? 無料で本をもらえるのですか?という質問が多くありました。協会に入っても治療は早くできないし、裁判も応援してくれないなら意味がないと言う方も多かったです。しかし協会は、国や医学界が正式に認めることが「脳脊髄液減少症」の根本的解決と考えていました。そして解決しなければならない諸問題があることも承知していました。大変な労力がいるであろうと覚悟が必要でした。
実際に、裁判では、「MRI」や「RI」の検査で明らかな異常所見がある画像と医師の鑑定もあるのに、髄液漏と交通事故の因果関係を認める判決が出ません。敗訴の連続です。どうすれば勝訴できるのか? 「現実の厳しさ」、「判決理由」や「多くの矛盾」を知り、それを解決するために協会の運動が必要であると支持する方も多いです。昨年(2005年)から、西日本では裁判で勝訴する事例も出てきました。東日本は、これからです。
今年(2006年)の3月8日の参議院予算委員会での質疑応答で、状況は変わり始めました。厚生労働大臣、国土交通大臣、文部科学副大臣が「脳脊髄液減少症」について、かなり前向きな答弁をしたのです。ここまで協会は必死で地方行政議会やメディアとの連携、多くの検査・治療施設の拡大をしてきました。少しずつではありますが「脳脊髄液減少症」も認知されてきました。
「周りからの無理解が理解に変わった」と多くの方の声が協会に届いています。つまり、このマクロの運動・活動、結果が、設立からいままでの「最大の支援」だったのです。協会設立から、このマクロの運動に賛同し、労苦をともにし、さらに経済支援をしてくださった数多くの方に、この場を借りて、感謝もうしあげます。ありがとうございます。
さて、協会は「会報2」の中井のコメントを見ていただいてもわかるように、BPだけを薦めてきたわけではありません。髄液漏れを止めるには何が1番いいのか? 切開手術か? フィブリノゲン注入か? 点滴か?1番効果がある治療をすればいいのです。そのなかで、「BP=髄液漏れに対して現段階では最も有効な治療法」として世界で多数論文が報告されています。
実際の現場で日夜治療を続けている医師に、2005年に治癒経過などをアンケートで答えていただきました。ほとんどの医師は「改善率70%」との解答。(「会報5」参照)治療を行っている医師団からなる「脳脊髄液減少症研究会」では、「BPの施行回数を4回ないし5回以内(条件付)」に一定化する方向性です。臨床年数が短いこともあり、患者さんの病歴もさまざまです。なかには数十年苦しんでいるという方もいます。一概に言えませんが「BPには限界があり万能ではない」「回数や諸条件のもとでは副作用もある」ことがわかりはじめています。BPで完治した方もいます。7割り近くまで改善している方も多くいます。更に7~8回おこない改善している方もいます。
昔からいわれている、いわゆる「低髄液圧症候群」へのBPは「保険適用」(「会報6」参照)されるべきだと思います。しかし概念がまったく新しい「脳脊髄液減少症」には研究が必要だと考えます。BPの効果がない方のために、協会は国に対し「患者会」とともに研究を要望してきました。世論でも研究費をという声が高まっています。
「脳脊髄液減少症研究会」(脳脊髄液減少症医師団)の必死の活躍で、原因がわからなかった病気の原因のひとつが「髄液漏」と関連があることが認知されはじめています。つまり研究が進めば、多くの人が原因のわからなかった苦しみから開放される日が来ると確信しています。「むち打ち症」(外傷により衝撃)により髄液漏は発生します。しかし「むち打ち症」、「不定愁訴」のすべて が髄液漏が原因とは言えません。いろいろな要素が絡んでいる 場合も多くあるようです。ただ、漏出が慢性化していくと自律神経や体のいろいろな箇所に影響が及ぶこ とも間違いないようです。
いままで、多くの方々が「脳脊髄液減少症」啓蒙運動に賛同し、協会を支えてくださいました。また、患者さんが必死で本や会報をもって医師に啓蒙してくださいました。脳脊髄液減少症医師団が、患者本位で治療してくださいました。この病態は「社会問題」と鋭く切り込んでくださったメディア関係者、各党議員の応援も大きな力でした。 ※治療を行う医師の多くは「協会員」です。ある面、これも患者支援の一つだと考えております。
外傷や原因不明で髄液漏があり、さまざまな症状がでることは日本全体に認識されはじめました。しかし、現実は受け入れ病院が少なく過ぎます。各地各病院予約待ちが半年という状態です。「どこにも相談できなくて」と、協会や患者会に相談の電話やメールを数多くいただきます。
※今後の「支援」としては、行政と連携をとり各行政区に「相談窓口設置」を目指し、患者さんの経済的負担軽減を考えていきます。また相談員の補充を行なっていきます。
和歌山、東京各事務所に常勤者1名体制では限界が来ています。相談は、病気の問題、交通事故問題 などなど経験者でなければ難しいと考えます。つまり、引き続き、行政との連携、国との連携、情報発信、医師と患者間のパイプ役など、労力がいる仕 事はもちろん行わなければいけません。
患者さんについても、2回、3回と治療を必要とする場合、その治療をの待つ間の不安感、治療効果がな かったときの不安感、逆に悪化と感じられる場合の不安感など精神的なサポートが必要だと考えています。また交通事故や保険会社とのトラブルの不安、経済的な問 題など不安要素は多数ございます。
協会が設立して4年近くたちました。まさしく「ようやくスタートライン」に立ったと感じます。医師団も同じようなことをおっしゃています。協会は、この4年間必死に少人数で活動してまいりました。マクロの活動はいまだ必要と考えます。どう か協会に賛同いただければと考えます。
追加分(2007/4/1)
○2007年4月1日山形大学脳外科嘉山教授が申請されました(脳神経外科学術委員長)「脳脊髄液減少症に関する治療・診断法の確立に関する研究」が2007年度厚生労働省 科学研究費に採択されました。と連絡がはいりました。今後「脳脊髄液減少症の診断に関する実態の調査」「診断基準の作成」「治療法の検討」「脳脊髄液減少症になる原因の検討」がなされることになります。 病態解明 保険適用に一歩前進したといえると思います。大きな節目の一日となりました。
研究は3年計画。内容は▽診断に関する実態調査▽診断基準の作成▽発症原因の調査▽治療法の検討--など。約15人が研究班を作る。メンバーの専門は脳神経外科、頭痛、神経内科、神経外傷、整形外科、放射線科、疫学、統計学などにまたがる。この中には、事故によるむち打ちと髄液漏れとの関連性を指摘してきた篠永正道・国際医療福祉大熱海病院教授も加わる。
嘉山教授は「髄液漏れは診断基準が定まっていないため、過剰診断や診断漏れがあると思う。しっかりした診断基準を作りたい。むち打ちで長年苦しんでいる患者たちの病態究明にもつなげたい」と話している。
国が初めて予算を脳脊髄液減少症対策に交付されることとなったのです。
A5.
1.協会企画の本、協会企画による会報や体験集の売り上げ
2.会費:協会の活動に賛同した方に正会員、賛助会員、団体賛助会員となっていただいています。
3.寄付:協会に対する心からの支援
(寄付は大きな協会の財源となります。心より応援をよろしくお願いします)
4.病院を紹介する時のカンパ援助金:病院側の都合でどうしても治療を公開できないことがあります。
病院名を公開していても協会枠として診察がある場合も同様です。
Q4の「どのような支援をしていますか?」の項目でも述べましたが、上記の4点だけでは社会的問題となりつつある「脳脊髄液減少症」の諸問題を解決する協会活動費を捻出するのは困難な状況です。
国や行政、企業、助成金団体の援助が必要な時期にきてます。経済的に苦しい患者さんには、できるだけ負担のかからないよう、頑張らねばと思っています。
A6 会員募集のページを参照してください。
A1 医師と協会の苦労は、上記の「NPO法人脳脊髄液減少症患者・家族支援協会(旧名 鞭打ち症患者支援協会)」の案内で、ご理解いただけたことと思います。ここでは「治療と病院」について書きます。まず「脳脊髄液減少症」を治療している医師の中には、治療 開始わずか半年で黒髪が真っ白になったり、やせてしまわれた方がいます。
脳脊髄液が減少することはわかっても、その症状が多岐にわたり患者が訴える症状、痛みに医師として応えることのできない苦しみもあったと思います。『脳脊髄液減少症は全体の2割ほどしか解明されていない』と言われる医師もいらっしゃいます。また、保険の問題、事故との問題、保険会社との交渉、裁判の鑑定書と医師の仕事が増える一方でした。
多くのメディアは、ありがたくも患者側にたった放送や記事の掲載をしてくださり、いち早く社会に認知させようとしてくださいました。一方、「TVや新聞で見ました。治してください」と言う患者さんが数少ない治療施設に殺到したのも事実です。仕方がないことですが、予約をとらず飛び込みで治療を懇願される方も いました。病院ですので、大変な患者さんを治療するのは当然といえば当然です。しかし医師も人間です。感情があります。横柄な態度や無理解な言葉をかけられると、治療への情熱を減少させてしまうものです。治療をしてもらうのであれば、「この患者さんをなんとしても治癒させてみせるぞ!」と思わせるのが結果的によいことは言うまでありません。
そのような理由で、私たちは、「脳脊髄液減少症」の発見から現在に至るまでの背景を詳しく載せてある「会報1~11」までを読んでいただくことをお勧めしています。さらに3冊の本も読んでいただくよう推進させていただいています。会報や本を読んでいただき、リスクや治療の問題点を説明させていただいた上で協会経由で病院を紹介させていただいた方について、医師団から「とても治療がやりやすい」と感謝されています。
あと「医師との相性」もあるので、最初の医師に固定するのは、なかなか難しいと思います。しかし、疑問や重要な点についてはノートなどにまとめ、ご自身でしっかり聞いていくことが重要です。医師を変えるのは簡単なことです。本当にそれでよいのかを自問自答してからでも遅くはないと思います。次項でも述べますが、医師はパートナーだと思います。信頼が生まれれば自然とうまくいくと思います。
(1)「特発性低髄液圧症候群」は以前より知られていました、論文もそれなり出ていましたが、2000年(平成12年)前後より世界中から論文が多く出始めました。その論文には「ブラッドパッチ療法がもっとも有効である」と世界や日本人のドクターともに記述をしています。また「ブラッドパッチ療法」は昔から行われてきた治療であります。診断が確定すれば、この治療には診療報酬制度を早期に適用(「会報6」参照)すべきと考えます。
(2)髄液圧が正常にもかかわらず、髄液が漏出し様々な症状を発生する「脳脊髄液減少症」については、「低髄液圧症候群」と考えを別にしなければいけません。病態名が「特発性低髄液圧症候群」から「脳脊髄液減少症」に変わった理由もそこにあります。なお、病態名変更は、脳脊髄液減少症治療医師団により決められたものです。現在、この病態について脳神経外科、整形外科、麻酔科、神経内科に留まらず、さまざまな専門科(眼科、耳鼻咽喉科、心療内科、歯科)が注目をはじめています。まさしく研究が早期にのぞまれます。
(3)診察に行き、医師に病態の説明をしてもらうのは当然のことです。ただ、患者さんから、現在までの経過を聞いて、医師から病態についての説明がありますから、1人の診察が長時間になります。医師の負担軽減と患者さんと医師とのスムーズな会話を目指すため、できるかぎり診察前に「脳脊髄液減少症」について勉強していただくようお願いします。
(4)「会報5」に治療後の医師へのアンケートがあります。少数ですが悪化されている方もいます。患者さんによって個人差があります。情報や知識が大事です。
(5)本や会報などの情報は、インターネットで「無料公開」して欲しいという意見もあります。「脳脊髄液減少症」啓蒙運動を支えるには経費が必要です。どうか協会運営の経費について「会報」などの有料化をご理解ください。
(6)電話相談は、どうしても交通事故の自賠責や任意保険の話になります。協会は設立当初、定款で保険の相談をしないことに決めました。しかし話題がその話になってしまいます。ゆえに第4回定期総会にて「保険関係の相談はしない」という言葉を削除することなりました。電話相談をして感じるのは、保険の仕組みを知らない方が多くいらっしゃることです。ぜひ「会報3&4」をお読みください。
(7)弁護士や行政書士を紹介してほしいという声も多くあります。できるかぎりの紹介は、したいと思いますが、ご紹介できる弁護士の数に限りがあります。思うようにご紹介ができないことも多いです。協会のホームページや「会報」だけでも、かなりの資料になります。見識ある素晴らしい弁護士や行政書士をご自分で見つけ、一緒に勉強し歩んでいただきたいのです。大変ですが、この活動が重要です。また、私ども協会の協力弁護士の働きかけで、特に首都圏の弁護士からの「会報」の注文が多数あります。病状の大変さもありますが、ご家族の助けを糧にしながら、「ご自分で切り開く、ご自分が主治医であり、ご自分が闘う」という気持ちをもっていただきたく思います。「強さ」はすべてにおいて自分を守ります。
A3 本年度秋までに脳脊髄液減少症研究会(ガイドライン作成医師委員会)により作成を検討中。
○病院によって入院日数、安静期間、治療費、ブラッドパッチ療法の施工回数、場所、方法などが微妙に違います。ガイドライン作成により 統一されれば、さまざまな諸問題が解決されると考えます。
(2006年11月8日)
○10月20日、京都国際会館にて「第65回 脳神経外科学会総会」が開催されました。そこで学術シンポジウム「脳脊髄液減少症の現状と問題点解明に向けて」が開催され、以下の方々の発表がありました。暫定ですが脳脊髄液減少症研究会からガイドライン要綱が発表されました。
内容は、近日中に脳脊髄液減少症研究会から発表があると思います。さらにシンポジウム開催後、橋本会長と嘉山学術委員長より記者会見がありました。1年以内に「学会間の垣根を払いガイドラインを作らなければならない」と述べ、整形外科、脊髄頭痛などにかかわる学会にこれから働きかけるとのことでした。(毎日新聞10月21日朝刊より)
(2011年10月) 脳脊髄液減少症画像の診断基準完成
Room A 学術委員会企画2 10:30-11:50 脳脊髄液減少症の現状と問題点解明に向けて 座長:嘉山 孝正(山形大学) 山田 和雄(名古屋市立大学) |
パネリスト 病態と治療法 篠永 正道(国際医療福祉大学附属熱海病院) |
パネリスト 低髄液圧症候群(脳脊髄液減少症候群)に対する当院での取り組みと問題点 西尾 実(名古屋市立大学大学院 医学研究科 社会復帰医学講座 神経機能回復学分野 (脳神経外科)) |
パネリスト 日本神経外傷学会から 島 克司(防衛医科大学校) |
パネリスト ガイドライン作成に向けて 喜多村 孝幸(日本医科大学) |
コメンテーター 治療適応について 鈴木 晋介(国立病院機構仙台医療センター) |
コメンテーター 患者の立場から 中井 宏(NPO法人 脳脊髄液減少症患者・家族支援協会(旧名 鞭打ち患者支援協会)代表理事) |
○国より研究費が交付されれば、更なる科学的研究が期待され新たな病態発見が期待されます。早急に研究費交付が望まれます。満足とはいえない現在の検査機器の改良。立位撮影RI&MRIなども開発される気運が高まることを期待しています。
最新情報(2007年4月1日)および脳脊髄液減少症ガイドライン2007(脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会)について
○2007年4月1日
山形大学脳外科嘉山教授が申請されました(脳神経外科学術委員長)「脳脊髄液減少症に関する治療・診断法の確立に関する研究」が2007年度厚生労働省 科学研究費に採択されました。と連絡がはいりました。今後「脳脊髄液減少症の診断に関する実態の調査」「診断基準の作成」「治療法の検討」「脳脊髄液減少症になる原因の検討」がなされることになります。 病態解明 保険適用に一歩前進したといえると思います。大きな節目の一日となりました。
研究は3年計画。内容は▽診断に関する実態調査▽診断基準の作成▽発症原因の調査▽治療法の検討--など。約15人が研究班を作る。メンバーの専門は脳神経外科、頭痛、神経内科、神経外傷、整形外科、放射線科、疫学、統計学などにまたがる。この中には、事故によるむち打ちと髄液漏れとの関連性を指摘してきた篠永正道・国際医療福祉大熱海病院教授も加わる。
嘉山教授は「髄液漏れは診断基準が定まっていないため、過剰診断や診断漏れがあると思う。しっかりした診断基準を作りたい。むち打ちで長年苦しんでいる患者たちの病態究明にもつなげたい」と話している。
国が初めて予算を脳脊髄液減少症対策に交付されることとなったのです。
脳脊髄液減少症研究会ガイドライン作成委員会にて多くの症例数を発表 (詳細は関連書籍より) |
A4 このQ4については、今まで数多く患者さんの相談を受けてきた協会の経験から、脳脊髄液減少症研究会による公式見解ではなく、あくまでも文責は協会にあるものとして読んでいただきますようお願いします。
現在、頚部、胸部、腰椎部における髄液漏は軽微な外傷も含め間違いなく起ると確信いたします。髄液漏れを確認する検査には、「RI脳槽シンチ検査」、「Gd(ガドリニウム)造影脳MRI検査」、「MRIミエログラフィー検査」があります。
○検査の中で、最も信頼性、信憑性が高いとされているのが「RI脳槽シンチ検査」です。この「RI脳槽シンチ検査」は「腰部より髄液中に放射能物質(RI)を注入し、放射線を感知する器械によって経時時(多くは1.3.6.24時間後)に撮影する検査」です。 詳細は(「会報1」プロトコル)をご覧ください。
○「MRIミエログラフィー」は造影剤などを使用せず、安全に髄液漏れを確認できます。しかし短所があります。「MRIミエログラフィー」は、まだ一定の評価が得られていません。例えば「RI脳槽シンチ検査」をおこない、髄液漏れがはっきり確認されたとしても、同じ部位から「MRIミエログラフィー検査」で、陽性のデータがでないケースがあります。逆に「MRIミエログラフィー検査」では漏れが確認されても、「RI脳槽シンチ検査」では陰性という逆のケースもあります。しかし「MRIミエログラフィー検査」で漏れが確認されたところにBPを行ない症状が改善される方もいます。当然ですが「RI脳槽シンチ検査」「MRIミエログラフィー検査」とも同じ場所から髄液漏れが発見されるケースもあります。
○交通事故などで症状が出て、損害保険会社との「やりとり」で、どうしても漏れているという証拠、鑑定されるべき証拠が必要な場合、現在は「RI脳槽シンチ検査」の画像が 有力なものになります。故にどうしても、当協会も「RI脳槽シンチ検査」をする検査治療施設を勧めざるをえません。例えば、「RI脳槽シンチ検査」により髄液漏出部が不明でも、1時間や3時間後に膀胱にRIが集積するという画像(早期膀胱内集積)がでたとします。現在、医師団の間では「短期間で膀胱に集積される髄液も漏れの一部」と診断されています。しかし、損害保険会社や「脳脊髄液減少症」自体に異論を唱える医師たちからは、これを否定する声が多いようです。その理由の一つは、RIを注入する際に硬膜内に刺した針を抜く時にどうしても髄液が漏れます。その漏れが膀胱に集積してるというものです。また「RI脳槽シンチ検査」をおこなった後に「頭痛が検査前よりひどくなった」と訴え、 医師に苦情を言う方もいます。「脳脊髄液減少症」は髄液量が少ない病態であります。腰椎穿刺のあとのわずか数mlの髄液漏れでも症状がわるくなったと訴えられる方もいます。この件については、今後の研究が望まれます。
最も研究が必要だと思われる一つに、「すべての検査で陰性(異常なし)なのに、典型的な『脳脊髄液減少症』の諸症状を訴えられる方をどうするか?」が挙げられます。現在の画像診断では病態をすべて出せていないことも考えられます。(「MRIミエログラフィー検査」や「RI脳槽シンチ検査」は、横になっての検査です。今後立って撮影できるもの。さらに感度の高い水分だけを拾える画像機器の開発なども待望されます。)
BPが行なわれた直後、全ての症状が一瞬に消える「風船効果」というのがあります。嘘のように今までの症状が消えたりします。そのまま完治した方もいます。しかし多くは数日~数ヵ月後に悪化状態になるケースも多いようです。自己血の注入により圧力が加わり、脳の位置などが上昇することで起るのではと考えられています。 「風船効果」についても研究が必要だと思います。
「脳脊髄液減少症」は「正常圧髄液減少症」とも言えると考えます。正常圧水頭症(髄液圧が 正常でありながら髄液が過剰に貯留した病態)との関連性を表裏一体といわれる医師もいます。事故後、「RI脳槽シンチ」で検査後、髄液が多数の神経根の根元から漏れている。しかし髄液圧は正常値。BPをおこない漏出をとめる施術をすると、急激な頭痛に襲われる方もいるようです。通常はBP後は点滴なども行なうのですが、こういった患者さんに点滴をすると頭痛を増進される方もいます。このような現象を「高髄液圧」であると言われる医師もいます。この事についても研究が必要だと認識します。
また反面BPにおいて、「耐え切れない頭痛がおさまった」「めまいがなくなった」という声を一番よく耳にします。効果が治療後すぐ現れる方、数年後に効果がでる方、さまざまです。
10年、20年と症状に苦しんでいる方の治癒率は、50%~60%というのが最も多いと思います。なかには中井のように8割以上改善した例もあります。 上記の内容だけでも、この「脳脊髄液減少症」が新しい病気で研究が必要なことがわかります。もともと「低髄液圧症候群」(髄液圧が低いために発生する病態)については、世界で、BPが有効であり、著高改善されている報告が多くされています。「低髄液圧症候群」については、前にも述べましたが「保険適用」(「会報6」参照)が早期に望まれます。
A5 Q1~4を良く読んでいただいた上で「診察希望の方へ」をご覧下さい。
A1 メディア関係の方々は、いつも患者本位で取材をしてくださり、「脳脊髄液減少症」の 普及認知に協力してくださっております。驚いたことに知り合いになった記者やディレクター、プロデューサーの身内やお知り合いの方にも、この病気でくるしんで方も多くいたようでした。また、特に放送された各局放送局の番組の反響は、各局ディレクターの話では「番組 始まって以来の反響」だとか、大反響だったようです。社会の関心の高さが伺えます。しかし反面TVや新聞には視聴者読者に伝える情報量には限界があります。
「脳脊髄液減少症」のおかれております。社会的背景や問題点については短時間の放送や決められた文字数では表現できない所が多々ございます。 TVや新聞だけを見て病院に行くこともよいでしょう。ご自身が苦しまれてきた原因が「これだっと」直感めいた感覚は重要だと思います。
しかしできる限り、このページを読んでいただくことをお勧めします。また患者様の身内の方、お知り合い、ご友人の方々、患者様は苦しみが長ければ長いほど「あせりなどがでて」 ご自身を見失うこともありえます。
どうか大変な時もございましょうが、患者さまを支えていただきますようお願い申しあげます。
A1 こちらをご覧下さい
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A2 こちらをクリックください
A3 坂口元厚生労働大臣 西元厚生労働副大臣 北川国土交通大臣 池坊文部科学副大臣
冬柴国土交通大臣 舛添厚生労働大臣 渡辺厚生労働副大臣 谷口国土交通省政務官
上田厚生労働省健康局局長 厚生労働省山野井政務官
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